「広報委員が行く!会社訪問」第14回の今回は情報番組からドラマ、そして技術部門まで幅広くテレビ番組の制作を手掛けられている制作会社としては老舗である共同テレビさんにお邪魔し、山田良明社長にお話をうかがいました。
インタビュー:広報委員(株)ネクストワン 内山雄治
写真:(株)ウッドオフィスグループ 岡村宇之
(2012年2月取材)
「広報委員が行く!会社訪問」第14回の今回は情報番組からドラマ、そして技術部門まで幅広くテレビ番組の制作を手掛けられている制作会社としては老舗である共同テレビさんにお邪魔し、山田良明社長にお話をうかがいました。
インタビュー:広報委員(株)ネクストワン 内山雄治
写真:(株)ウッドオフィスグループ 岡村宇之
(2012年2月取材)
山田良明社長のプロフィール 1946年生まれ’69に慶応義塾大学商学部卒後同年フジテレビジョンに入社。 ドラマの現場が長く「北の国から」「白線流し」のような人間ドラマからいわゆる「月9枠」での「東京ラブストーリー」「101回目のプロポーズ」「君の瞳をタイホする」といったトレンディド ラマまで大ヒットドラマを数多く生み出し、「フジテレビのドラマ」の基礎を築いた。 ギャラクシー賞、放送文化基金賞、日本民間放送連盟賞など多くの賞を受賞。 フジテレビの編成制作局長、常務取締役を経て2007年より現職。
Q.現在はフジテレビさんの直系である共同テレビさんの沿革は?
Q.現在、社員の方は何人位いらっしゃいますか? 社員は163人ですが子会社の株式会社ベイシスに制作、技術のスタッフが126人おります。
Q.制作部門以外にもENGからスタジオ技術、編集室、中継車などテレビ番組制作に必要なものがすべて揃っていますね。 そうですね。制作部門と技術部門、編集室までありますから番組作りにおいて一貫生産できるという体制になっています。
Q.それは制作会社としては強みでもありますね? そうですね。中で出来るという事はとても強みであると思います。
Q.そんな中で現在ではドラマ部門がだいぶ充実されていますね。
Q.今、テレビ業界は大きく変わりつつあると思いますがそんな中で共同テレビさんの今後の方向性といったものは? 地上波以外にBSだけでもこの春で30程になりますしCSはもちろんNOTTV (注)のような新しい映像提供メディアが登場して来て、出口としてのメディアが非常に広がっている中で映像を使って自らを表現して行こうと思う人たちが今まで以上に番組や制作物を作るチャンスが増えるわけで、それに対応できるように(会社も)進化していかなければならないと思います。NOTTVの場合3チャンネルありそのうちの1チャンネルは24時間ライブ放送なんですがこちらから編成に人を出してお手伝いさせて頂きながら番組の制作もさせて頂くというような形もとっています。 注)NOTTV:NTTドコモ、フジ・メディア・ホールディングス、在京民放局や大手広告代理店他の
Q.社長は長らくドラマをお作りになられていますが実際の現場はどのくらいの期間おやりになっていたんですか? 30歳でドラマの現場に行けまして42~43歳位までですから12~3年ですね。 その経験は今とても活かされていると思いますがテレビ局に居た時はある程度枠があって企画も通りやすいんですが制作会社となると企画書をきちっと作って提出しテレビ局の2重3重の承認を得て、もう実現するのが大変ですよね。フジテレビの関連会社だから多少はサポートがあるにせよそれでもハードルは高いです。それがフジテレビの良いところでもあります。
Q.今、テレビ番組の企画に充分な時間もお金もかけられない。そのうちにメディアが多様化し一方で少子化でお客さんの数は減って行く。ドラマひとつをとってもこれからどうなって行くのでしょうか?
Q.そういったお話を社内の現場の方にする機会はありますか? しょっちゅう、嫌がられても毎日のように午後は下(制作の部屋)に降りて行って、「これは社長としてではなく視聴者として、あるいは個人としての感想」ということで必ず感想を言ってあげる。それも100のうち80は誉めて20は「これは違う」みたいなことをきちっと伝える。誉めた後に言ってあげるとみんな素直に聞いてくれますから。 社長からのアドバイスですから効きすぎてしまわないよう、業務命令にならないように気をつけています。
そんな社長のお人柄や会社の雰囲気について現場で活躍中で平成22年度の当協会の「ヤングクリエーター賞」を受賞したプロデューサー、後藤勝利さんにうかがいました。 Q.最初から共同テレビさんに入社されたんですか?
Q.後藤さんにとって山田社長とはどんな存在ですか? いやあ何というか、手前味噌ですが、もし「日本のテレビドラマ」っていう教科書があったら太字で名前が入るような人。そういう存在が身近にあるっていうのはすごく大きい事で、誇らしいし刺激的です。飲みに行くと「俺がお前くらいの歳の時には2年間でゴールデンの連ドラを8シリーズ立て続けにやって全部当てた。お前にそれができるか?」なんていう話にもなるんですが、「あ、頑張ります!」としか言えませんよね(笑) それでいて決して雲の上の人ではなくて、たいてい午後になると社内中を「地井さんばりに」独りで散歩して「最近あれ見たよ」とか「俺はこう思った」とかみんなに声をかけるんです。逆に誰もが話しかけられる。それは僕らにとってとてもありがたいことです。
Q.そうなるとおのずと社内の風通しも良くなりますね? 一番下の助監督の話も聞いてくれますし、僕らが「企画が通りました」と言えば「おお、やれやれ」と何でもやらせてくれます。 社長だけでなく社内の先輩も番組を見てくれていて「俺はこう思う」「こうしたらどう?」とかスクロールするのも大変なくらい長いメールがどんどん入ってくる。 やる気のあるクリエイターにとって、とても良い環境の会社だと思います。
後藤さんありがとうございました。ここで再び山田社長にご登場いただきます。 Q.今、全般にテレビが低迷している、あるいは面白くないという意見がありますがこれからの制作者にとって大切なことは何でしょうか? (テレビが低迷する中)制作者にとってテレビは「自分が何を伝えたいのか?」「自分がどういう思いを持っているのか?」それを表現する場ですから自分で考える事が大切です。
Q.つまり制作者である自分が発信源である、ということですね? そうです!自分が何をやりたくてここに居るのか?という事が大事。今、テレビが面白くないって言われますけれど、私は今テレビがこんなに面白い事はない、と思います。 地上波、BS、CSでバラエティ、ドラマ、ドキュメンタリー、アメリカのテレビシリーズも韓国のドラマも、スポーツならテニス、サッカー、ラグビー、野球と何でも見られるしおかげでハードディスクの中にたまりすぎちゃってどうにもならないんですよ(笑) こんなに素晴らしいメディアはないと思います。
Q.お仕事を離れて一視聴者としてご覧になるのはどんな番組ですか? ほっとくとドキュメンタリーばかり見てますね!ドキュメンタリーが大好きなんです。特にNHKのBSプレミアムなどは見逃さないようにしています。これはどこの会社が作ったのかなって気になってこんなに素晴らしい番組をどんな人が作っているのかなあって思いながら拝見してます。本当に勉強しなければと思っています。人間を描くドキュメンタリーはドラマの企画のとても良いヒントになります。 社員にもできるだけテレビを見なさい、映画を見なさい、本を読みなさいって言っているんですけどあれだけ忙しい思いをさせてそれも無理ですから・・・やはり働く環境をもっと良くしてあげなければいけないですね。
Q.最後に制作会社の代表として何かお伝えしたい事はありますか? それは作品を通じて表現して行くという事だと思っています。
山田社長、ありがとうございました。
毎年社員からその年のスローガンを募集しているそうです。過去には「ヒラメキ。」「響け!」などが。そして今年のスローガンは「笑顔」 |
制作会社としては規模の大きな組織でありながら現場を理解している社長と社員とのコミュニケーションがとても良く取れている環境は物作りにおいて大事なことだと思いました。「人間ドラマが好き」とおっしゃる山田社長の「人がすべて」というポリシーでこれからも良質のコンテンツが生み出されて行く事に期待したいと思います。
インタビュー:広報委員(株)ネクストワン 内山雄治
写真:(株)ウッドオフィスグループ 岡村宇之