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広報委員が行く!会社訪問

株式会社共同テレビジョン

所在地:東京都中央区築地5-6-10
浜離宮パークサイドプレイス 11F 12F
電 話:03-3547-4800
FAX:03-3547-4809
HP:http://www.kyodo-tv.co.jp/
代表取締役:山田良明

 

「広報委員が行く!会社訪問」第14回の今回は情報番組からドラマ、そして技術部門まで幅広くテレビ番組の制作を手掛けられている制作会社としては老舗である共同テレビさんにお邪魔し、山田良明社長にお話をうかがいました。

 

インタビュー:広報委員(株)ネクストワン 内山雄治
写真:(株)ウッドオフィスグループ 岡村宇之
(2012年2月取材)

山田良明社長のプロフィール

1946年生まれ’69に慶応義塾大学商学部卒後同年フジテレビジョンに入社。 ドラマの現場が長く「北の国から」「白線流し」のような人間ドラマからいわゆる「月9枠」での「東京ラブストーリー」「101回目のプロポーズ」「君の瞳をタイホする」といったトレンディド ラマまで大ヒットドラマを数多く生み出し、「フジテレビのドラマ」の基礎を築いた。 ギャラクシー賞、放送文化基金賞、日本民間放送連盟賞など多くの賞を受賞。 フジテレビの編成制作局長、常務取締役を経て2007年より現職。

 

Q.現在はフジテレビさんの直系である共同テレビさんの沿革は?

元々は共同通信社さんのニュースのテレビ部門の様な形でフジテレビの開局前に設立された会社です。社名の由来もそれ故のものです。そこに地方局も含めた各社が出資をして・・・やがてニュースも各局の系列ごとに配信されるようになりフジテレビ系列になったと聞いております。確かフジテレビの日枝会長も報道局時代に共同テレビに出向されていたと聞いております。 ですから現在でもフジテレビの報道番組を担うENGのカメラマンが70〜80人おります。

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株式会社共同テレビジョン 会社概要

設立:昭和33年7月28日

資本金:1億5,000万円

社員数:163名

業務内容:
放送番組、ニュース、ワイドショー等の企画、制作
各種映像、映画、ビデオパック、Web、モバイルコンテンツ、
DVDおよびコマーシャル等の企画、制作、販売
イベント関連の企画、実施、開発事業
VTR収録、撮影、録音、照明、スチール写真等の取材技術関連業務
スタジオおよび中継車の制作技術関連業務
VTRの編集、特殊映像効果および転写、ダビング等のポストプロ関連業務
広告代理業務
タレント・文化人マネージメント業務
放送番組制作のための機器等の操作及び演出業務についてのスタッフ派遣事業

 

Q.現在、社員の方は何人位いらっしゃいますか?

社員は163人ですが子会社の株式会社ベイシスに制作、技術のスタッフが126人おります。

 

Q.制作部門以外にもENGからスタジオ技術、編集室、中継車などテレビ番組制作に必要なものがすべて揃っていますね。

そうですね。制作部門と技術部門、編集室までありますから番組作りにおいて一貫生産できるという体制になっています。

 

Q.それは制作会社としては強みでもありますね?

そうですね。中で出来るという事はとても強みであると思います。

 

Q.そんな中で現在ではドラマ部門がだいぶ充実されていますね。

ドラマ制作は共同テレビのひとつの大きな看板になっています。 実はもともとドラマ制作の歴史があったわけではなくて80年代にテレパックさんから10数名のスタッフが移ってこられてそこから共同テレビのドラマ制作が始まったという事です。それはフジテレビとして自社制作だけでなくもうひとつの柱として共同テレビでもドラマを作って行こうという事だったんですね。

 

Q.今、テレビ業界は大きく変わりつつあると思いますがそんな中で共同テレビさんの今後の方向性といったものは?

地上波以外にBSだけでもこの春で30程になりますしCSはもちろんNOTTV (注)のような新しい映像提供メディアが登場して来て、出口としてのメディアが非常に広がっている中で映像を使って自らを表現して行こうと思う人たちが今まで以上に番組や制作物を作るチャンスが増えるわけで、それに対応できるように(会社も)進化していかなければならないと思います。NOTTVの場合3チャンネルありそのうちの1チャンネルは24時間ライブ放送なんですがこちらから編成に人を出してお手伝いさせて頂きながら番組の制作もさせて頂くというような形もとっています。

注)NOTTV:NTTドコモ、フジ・メディア・ホールディングス、在京民放局や大手広告代理店他の
出資による(株)mmbiが運営するスマートフォン向けに番組を配信する放送局。

 

Q.社長は長らくドラマをお作りになられていますが実際の現場はどのくらいの期間おやりになっていたんですか?

30歳でドラマの現場に行けまして42~43歳位までですから12~3年ですね。 その経験は今とても活かされていると思いますがテレビ局に居た時はある程度枠があって企画も通りやすいんですが制作会社となると企画書をきちっと作って提出しテレビ局の2重3重の承認を得て、もう実現するのが大変ですよね。フジテレビの関連会社だから多少はサポートがあるにせよそれでもハードルは高いです。それがフジテレビの良いところでもあります。

 

Q.今、テレビ番組の企画に充分な時間もお金もかけられない。そのうちにメディアが多様化し一方で少子化でお客さんの数は減って行く。ドラマひとつをとってもこれからどうなって行くのでしょうか?

ドラマは時代と共に変わって行く部分と時代とは関係ない普遍的な部分を持っていると思います。その包装紙は変わってもドラマで描くものってそんなに変わっていないと思います。「家政婦のミタ」も非常に基本的な方程式をちゃんと使って作られているホームドラマです。今その方程式をきちっと使える作家がいないのかも。方程式ができていないドラマは崩れて行ってしまいます。 「家政婦のミタ」が視聴率40%を超えた。(今でも)40%取れるんだ!というのもあります。しかし40%を取る必要はないと。おっしゃるようにメディアの多様化の中で地上波は基幹ですから視聴率15%も取れば十分に成功だと思います。20%、25%と望んで自らハードルを上げてしまっていると思うんです。 今、私が好きなドラマは「最後から2番目の恋」(毎週木曜日22:00〜22:54フジテレビ系にて3月まで放送)なんですけれども視聴率的には10%〜11%くらいですがそれで良いと思うんです。お客様にちゃんと見せているということでいいと。それを15%にしよう18%にしようとするとドラマが崩れて行きますからね。

 

Q.そういったお話を社内の現場の方にする機会はありますか?

しょっちゅう、嫌がられても毎日のように午後は下(制作の部屋)に降りて行って、「これは社長としてではなく視聴者として、あるいは個人としての感想」ということで必ず感想を言ってあげる。それも100のうち80は誉めて20は「これは違う」みたいなことをきちっと伝える。誉めた後に言ってあげるとみんな素直に聞いてくれますから。 社長からのアドバイスですから効きすぎてしまわないよう、業務命令にならないように気をつけています。

 

そんな社長のお人柄や会社の雰囲気について現場で活躍中で平成22年度の当協会の「ヤングクリエーター賞」を受賞したプロデューサー、後藤勝利さんにうかがいました。

Q.最初から共同テレビさんに入社されたんですか?

最初は別の制作会社におりました。25歳の時に機会があってプロデュースをまかされその後共同テレビに移りまして、最近では「HUNTER」(2011年10月〜12月フジテレビ系で放送)をやり今はWOWOWのスペシャルドラマや7月期のドラマ(東海テレビ)の準備中です。

 

Q.後藤さんにとって山田社長とはどんな存在ですか?

いやあ何というか、手前味噌ですが、もし「日本のテレビドラマ」っていう教科書があったら太字で名前が入るような人。そういう存在が身近にあるっていうのはすごく大きい事で、誇らしいし刺激的です。飲みに行くと「俺がお前くらいの歳の時には2年間でゴールデンの連ドラを8シリーズ立て続けにやって全部当てた。お前にそれができるか?」なんていう話にもなるんですが、「あ、頑張ります!」としか言えませんよね(笑) それでいて決して雲の上の人ではなくて、たいてい午後になると社内中を「地井さんばりに」独りで散歩して「最近あれ見たよ」とか「俺はこう思った」とかみんなに声をかけるんです。逆に誰もが話しかけられる。それは僕らにとってとてもありがたいことです。

 

Q.そうなるとおのずと社内の風通しも良くなりますね?

一番下の助監督の話も聞いてくれますし、僕らが「企画が通りました」と言えば「おお、やれやれ」と何でもやらせてくれます。 社長だけでなく社内の先輩も番組を見てくれていて「俺はこう思う」「こうしたらどう?」とかスクロールするのも大変なくらい長いメールがどんどん入ってくる。 やる気のあるクリエイターにとって、とても良い環境の会社だと思います。

 

後藤さんありがとうございました。ここで再び山田社長にご登場いただきます。

Q.今、全般にテレビが低迷している、あるいは面白くないという意見がありますがこれからの制作者にとって大切なことは何でしょうか?

(テレビが低迷する中)制作者にとってテレビは「自分が何を伝えたいのか?」「自分がどういう思いを持っているのか?」それを表現する場ですから自分で考える事が大切です。

 

Q.つまり制作者である自分が発信源である、ということですね?

そうです!自分が何をやりたくてここに居るのか?という事が大事。今、テレビが面白くないって言われますけれど、私は今テレビがこんなに面白い事はない、と思います。 地上波、BS、CSでバラエティ、ドラマ、ドキュメンタリー、アメリカのテレビシリーズも韓国のドラマも、スポーツならテニス、サッカー、ラグビー、野球と何でも見られるしおかげでハードディスクの中にたまりすぎちゃってどうにもならないんですよ(笑) こんなに素晴らしいメディアはないと思います。

 

Q.お仕事を離れて一視聴者としてご覧になるのはどんな番組ですか?

ほっとくとドキュメンタリーばかり見てますね!ドキュメンタリーが大好きなんです。特にNHKのBSプレミアムなどは見逃さないようにしています。これはどこの会社が作ったのかなって気になってこんなに素晴らしい番組をどんな人が作っているのかなあって思いながら拝見してます。本当に勉強しなければと思っています。人間を描くドキュメンタリーはドラマの企画のとても良いヒントになります。 社員にもできるだけテレビを見なさい、映画を見なさい、本を読みなさいって言っているんですけどあれだけ忙しい思いをさせてそれも無理ですから・・・やはり働く環境をもっと良くしてあげなければいけないですね。

 

Q.最後に制作会社の代表として何かお伝えしたい事はありますか?

それは作品を通じて表現して行くという事だと思っています。

 

山田社長、ありがとうございました。

 

毎年社員からその年のスローガンを募集しているそうです。過去には「ヒラメキ。」「響け!」などが。そして今年のスローガンは「笑顔」

広報委員の後記!

制作会社としては規模の大きな組織でありながら現場を理解している社長と社員とのコミュニケーションがとても良く取れている環境は物作りにおいて大事なことだと思いました。「人間ドラマが好き」とおっしゃる山田社長の「人がすべて」というポリシーでこれからも良質のコンテンツが生み出されて行く事に期待したいと思います。

インタビュー:広報委員(株)ネクストワン 内山雄治
写真:(株)ウッドオフィスグループ 岡村宇之