お忙しい中、大変ありがとうございました。芸人さんが聞いたらほんとに喜ばれるまたはつっこまれる最後の社長のお言葉でした。 インタビュー後は、小学校の跡地に建てられた本社内の制作部やスタジオ、食堂、そして新宿ルミネの劇場までご案内してくださいました。 巨大プロダクションではあるものの人間味の感じる会社であり、タレント思いの藤原社長でした…。 取材後、藤原社長から「一緒に撮りましょう」とパチリ。≫≫ |
株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー
旧小学校を再利用した社屋 |
代表取締役社長 藤原 寛氏 |
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旧新宿区四谷第五小学校の校舎をそのまま利用し本社とした株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー。
吉本興業グループの中核をなし、タレントマネジメントからソフト・TV・ラジオ番組の制作から演芸・演劇の制作・配給・興行を行う。
若手芸人さんのマネジャーからスタートし今や代表取締役を務めるアノ番組でもお馴染みの藤原社長の人となりと人生に 迫りたいと思います。
インタビュアー:広報委員 株式会社NX 中山 維夫
写真撮影:広報委員 WACホールディング(株) 岡村 宇之
(2018年7月取材)
Q,では、早速インタビューをさせていただきます。 藤原:なんか大きく変わってないような気がします。こう言うと、いろんな人に怒られるかもしれませんけど、結局、芸人さん中心の会社で、タレントさんや芸人さんにお仕事をしていただいて、収入を得ていますので。マネージャー時代、芸人さんと向き合って「ひとつでも仕事を」と動いていたその延長線上に今もいるっていう感じですので。もちろん、社長になって扱う情報量も半端なく、責任感とか見る範囲が広くなったというのが、率直に言うと、マネージャー時代との違いですかね。
Q,社長になられて早一年が過ぎましたが、一番のご苦労は? 藤原:社長に就任する際に吉本興業の方の社長、大崎から「これからはちゃんと、俯瞰でものをみて全体を見渡す、 視点をしっかり意識してやっていかなあかんねんぞ」というのを言われました。
そんな時、漫画の「黒子のバスケ」を読む機会があり「イーグルアイの眼」をもっている選手がいると。 バスケットコートを平面じゃなくて、俯瞰でみてポジショニングとか、全体を見渡す、すごい選手です。 漫画からですけど、全体を見るとはこういうことかと分かりました。
マネージャー時代は、テレビ収録の本番中、プロデューサーさんやディレクターさん、カメラマンさん など山ほどのスタッフがいる中、スタジオの中での居場所を見つけるのは意外と得意だったような気がします。
Q,今年はNHK朝の連続テレビ小説「わろてんか」で吉本興業のヒストリーがドラマとなりましたが、 一言でどんな会社ですか? 藤原:一言ですか。やはり「お笑いの会社」っていうことになるんかなぁと思っています。
Q,日本一所属芸人さんが多いと言われる、よしもとクリエティブ・エージェンシー。
藤原:6,000人と言われてます。弊社のコンプライアンス研修で超若手などを劇場に集合させて、 警察OBの方などが全国で研修を行うんですけど、それを集計すると6000人なんです。
Q,それだけ人数が多いと、才能のある方もみつかりますよね? 藤原:今、吉本は全国で12劇場あり、その中に若手の劇場があり、新人でも舞台に立てるチャンスはあるんですね。
━━全員にチャンスがあり、その中から新たな才能を見つけるわけですね。 藤原:人数が多い分、才能が多岐にわたっていますので、その才能をどうやって僕らが見つけて伸ばすか。
Q,タレントさんや芸人さんを育てたりマネージメントすることの魅力は? 藤原:魅力ですか、みんな志をもって入ってきて、その志が小さなことでも成就して活躍してもらえる。そういうのが僕らの喜びっていうか、醍醐味やったりします。もちろん、みんながスターになれたらいいんですけど、一つ一つ、芸人さんの望むことが実現されていくのを間近で見られるのがこの仕事の魅力でもあります。
Q,普通の人がブレイクして、スターになるのを間近で見られるわけですが まさかこの子がこんなに売れるとはといった体験はございますか? 藤原:陣内君(陣内智則)ですかね。私が新入社員で心斎橋2丁目劇場の担当の時、NSC(養成学校)を卒業して、 ネタ見せに彼が来たんですけど、ものすごい汚いコンビやなと。(当時はコンビで活動。コンビ名:リミテッド) 二人とも恰好が汚くて、「もうちょっと小奇麗にせな、テレビや人前に出られへんよ」って感じに思った子達なんです。 私が東京勤務になり、しばらくしたら、大阪で陣内が人気が出てきたと聞いて、「ええ?あの陣内が!」と思った覚えがあります。 陣内と久しぶりに再会した時も、まず陣内に言われたのが、「藤原さん、まさか僕、こんなんになると思ってなかったでしょう」って。 才能あったのを、僕がよう見出せなかったんやと思うんですけど。だから、人前に出ていくことで磨かれていくって、 やっぱりあるんだなぁとすごく感じた一例ですかねぇ。
Q,ダウンタウンさんの元マネージャーとして有名ですがマネジメントする上で心がけていたことは? 藤原:ダウンタウンに限らずなんですけど、やはり僕はタレントさんがとにかく気持ちよくお仕事してもらえるようにと心がけています。 よしもとのマネージャーは、芸人さんのカバン持ったらあかんとか、後ろ歩いてたらあかんとか、前歩いて行かなあかんねんとか。大阪の方では有名で、メディアに取り上げられたりするんですけど、あくまでも精神面のことで、マネージャーとして自立して ものを考えないとあかんという意味と思い、肝に銘じています。
本番に臨むのは芸人さんなのでちょっと喉がかわいてるなと思ったら、飲み物買いに走ったり、煙草がちょうどきれているなと なったら、すぐに用意したり。気分悪い言うたら、薬、何種類か持っておくとか。
━━ そんなタレントさんのために全力を尽くす藤原社長さんですが 藤原:ちょっと大袈裟な話になってますが、トイレの中まで案内したのは事実です(笑)。
Q,そんな伝説のある藤原社長。今、御社として、こんな芸人さんが欲しいとか育てたいなどございますか?
藤原:どんな才能、どんな人でも、よしもとに来て欲しいなと思っちゃうですよね。
創業当時は劇場から始まり、ラジオ、テレビ、今はネットの世界もありますし、海外もあります。
Q,ここで少し固めの質問を。コンプライアンスが叫ばれている時代。 藤原:警察OBや社外弁護士さんなどでコンプライアンス委員会を作っております。 今は年がら年中やってますね。
Q,今年はまた企業にとって、「働き方改革」の年でありましたが、多忙を極める多くのマネージャーさんを抱える御社では、どのような対策を? 藤原:マネージャーについては、基本は芸人さんをフォローする役で、現場にも行ってもらうんですが、芸人一人ひとりにべた付きで、っていうことができないので、チーム制にして、班体制でタレントさん何組かを抱えてます。
Q、座右の銘や大切にしている言葉はありますか? 藤原:小学校の担任の先生が美術専門の先生なんですが、その先生が卒業する時に、みんなに、言葉と美術の先生なので色紙に絵を描いて、みんな一人ひとりにくれるんですよ。そこには「自分の選んだ道だから、あきらめずに、しっかりやりなさい。いつか花が咲きます」と。枝に蕾がいっぱい付いた絵を描いてくれました。
Q,そんな小学六年生の時はどんな道に進もうかとか考えておられましたか? 藤原:小学生の時は、親が学校の先生だったので、「お前も先生になったらええねん」とか「お医者さんは、人の命を救う立派な仕事なんやぞ」とか言われて、親がそんなに言うなら、「なんか学校の先生なりたいわ」とか、「医者になりたいわ」と言うてたら、親、喜んでくれるんかなぁと思ってって、言うてたぐらいの感じです。
Q,そんな藤原さんが吉本に入社しようと思ったのはいつ頃ですか? 藤原:中学生の時に、よしもと入りたいって。
━━藤原社長の当時の「吉本に入りたい」は芸人さんとして出る方ですか? 藤原:いや、違います!違います!当時から大阪ってマネージャーさんとかスタッフの人らも結構テレビに出演していて、なんか芸人さんとかタレントさんにこういじられて、こんな仕事があるんだなと。
ていうか、私はものすごい緊張しいやし、あがり症で学校でも発表せんなあかんってなったら、ムチャクチャ嫌やったんで、とても、出る方は。そんな時から、出る方はもう無理やし、でもお笑い好きやし、みたいなことで。なんかそういう仕事あるんだなと思って、やりたいって思った記憶があります。
医者とか先生になりたい!って言ってた息子が、「よしもと入りたい」って言ったので親はショックを受けたような気がします。実際に就職する時に「吉本の就職試験に受けるわ」と言った時、「(中学生の時に)吉本に入りたいって言ってたの、あれほんまやったんやなぁ、って、言われました。
Q,最初に担当されて芸人さんは? 藤原:ダウンタウンとかも出た心斎橋筋2丁目劇場に配属されたんですね。だから若手ばっかりでした。
Q,その頃のやってしまった失敗とかありますか? 藤原:とにかく入っていきなり2丁目劇場なんで。みんな、そんなもう血気盛んな芸人さんばっかりでもう。
それで一緒に飲みに行って騒いだり、芸人さんの家に泊めて貰って、寝て、朝起きて仕事行ったりとか。
<一人ひとりと毎日。だから、芸人さんにしたら、新入社員の若造がなに呼び出して。しゃべってくれって。
新入社員で入りたてで全然経験ないわ、タメ口でしゃべるわで今考えたら、ようやってたなって思うんですけど。
Q,そんな若気の至りがある中、あの苦労があったから今の自分があるみたいな経験は? 藤原:先ほど話した2丁目劇場の経験っていうのは、自分の中では大きいと思います。とにかく芸人さんの中に飛び込んでいって、右も左もわからんとそこでもまれた経験は。それと2年目の途中から、文珍さん(桂文珍)のマネージャーになったことですかね。若手から突然、超ベテランの芸人さんに付いて、劇場も番組も地方の営業も全部マネージャーが一緒に行くっていうことになり 、急にスーツ着て、周り大人ばっかりのところに飛び込んでいって。毎日、怒られてましたけど、言葉遣いから、所作から。
━━ちなみに、マネジャーともなれば、文珍さんの飛行機には乗られたんですか? 藤原:マネージャーみんな乗せてもらってたんで、僕も乗せてもらうんやろうなぁって思ってたんですけど。
続いては、藤原社長の人となりをお聞きします。 藤原:僕、趣味はね、なくて。学生の時はスキーが好きで春休みに1ヶ月半ぐらい長野県に居候させてもらって。ずっとスキーやってました。ペンションの仕事を手伝いながら、お昼は滑ってきていいよって言われて。もうずうっとやって。だからスキーが趣味。
Q,子供の頃からお笑い好きだった藤原社長。 藤原:新喜劇が好きでしたね。岡八郎さんとか花紀京さんとかもおもしろいなぁって思てました。
Q,大変お忙しいかと思いますが、どのような形でストレス発散をされてますか? 藤原:実は、ストレス発散で特にしてることがなくて。貯めるだけ貯めて、こう満帆になったら、前のストレスが抜けていってるんかな。前のストレス、忘れてどうすんねん、みたいな。ストレスは常にあって、勝手に入って、勝手に抜けていってるような感覚なんで。あとは本屋さんに寄って、本のタイトル眺めんのが好きなんです。新刊とか専門書とかパラパラ見てて、ああおもしろいな、こんな勉強もほんまはした方がええんやろうなぁ、とか思ったりして。それで、買うんですが、だいたいが読まずに置いてます。学生時代やっていたスキーの雑誌なんかも見るとストレス発散になってるかもですね。
━━それでは、ここで社員の方にお話しを伺いたいと思います。
Q.現在、所属されている部署とどんなお仕事を? 仲:本部長 (よしもとクリエイティブエージェンシーの)マネージメント本部とコンテンツ事業本部の本部長やらしてもらってます。
Q,仲さんから見て、藤原社長は、どんな社長さんですか? 仲:本部長 たくさんタレントさんいらっしゃいますので、藤原社長は、人柄的にすごくやっぱり気配りされる方ですね。
Q,社長の凄いところは? 仲:本部長 すごいところは、仕事を山に例えますと。あの山に登ると決められたら、ルート関係なく、どんな登り方をしても登られる方だと。目標を立てられた時は、それに対してのアプローチの仕方がいろいろあると思うんですけど、それを達成される忍耐力はすごいですね。あとは、いろんなお仕事の場面で、ちょっとトラブルが起きた時の交渉力も非常に長けた社長だと思います。
Q, 逆に「ここは直してほしい」という所はありますか? 仲:本部長 そうですね。最近で言いますと、ちょっとまあ、PCスキルをもう少し…。昨今の社内外含めて、共有事が多いので、 そのあたりのスキルをもう少しあげていただくと、非常に助かります。
Q.ちなみに、仲本部長の将来、やりたいビジョンなどございますか? 仲:本部長 ビジョンは、どんどん、日本国内だけじゃなくて、いろんな海外の人たちとお仕事一緒にできていければ、
━━お忙しい中、ありがとうございました。 Q,最後に、藤原社長の今後のビジョンや夢は? 藤原:お笑いの会社なんで、笑顔で仕事を一つでもたくさん作っていけたら、いいなぁ、っていうのが、本当に僕が思ってることで。その仕事、一つひとつ全部大きくなって、所属している芸人さん、タレントさん、みんな金持ちになってくれたら、 ええなぁって言うのが、僕の本当の夢、思いなんです。「ほんま、思てないやろ!」って(ツッコまれそうですが)。 |
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