株式会社 社員
- 所在地:東京都港区元麻布3-2-15
グラース元麻布202 - 電 話:03-5786-4372
- FAX:03-5786-4371
- 代表取締役社長:寺本 俊司
「広報委員が行く!会社訪問」第27回は、〝劇団ひとり〟ならぬ〝制作会社ひとり〟との呼び声高い、株式会社社員の代表取締役社長・寺本俊司さんの登場です。一人何役もこなす辣腕ぶりとその秘訣についてお聞きしてみました。
インタビュアー:広報委員 (株)オズマ 成田 はじめ
写真撮影:広報委員 WACホールディング(株) 岡村 宇之
(2015年3月取材)
Q.社員というのはユニークな社名ですが、〝社員の社長〟というのもややこしいですね? 社長は命令ばかりして働かない、社員は文句ばかり言って働かない、という固定概念を崩そうというか、社長と社員の垣根を取り払おうというのが弊社のポリシーです。
Q.取り払おうにも社長兼社員がひとりだけですよね? 最近は〝おひとり様ブーム〟だそうで、焼肉もひとりで、温泉もひとりで行くギャルが増えているそうです。そういう意味で、弊社は時代を先取りしていたようです。
Q.まずは寺本社長の謎に包まれた経歴を詳らかにしたいと思います。 大学(註・同志社大学)を卒業した後、大阪でサラリーマンをやってました。
Q.寺本社長は大変な苦労人で、中学を出た後にありとあらゆる職業を転々とされたという噂を耳にしたことがあります・ いわゆる「苦労人伝説」ですね?見た目のイメージからそう言われることが多いようです。ある時、高校を卒業したばかりのアシスタントディレクターから言われたことがあります。「寺本さんは若い頃から苦労して来られたそうですが、僕も寺本さんのようになれるように頑張りたいです。寺本さんは僕の目標です」って。
Q.とても深イイ話でした。就職したのはどんな製糸工場ですか? 富岡製糸工場ではなかったですが、タオルを扱う問屋で営業をしてました。入社してすぐは景気が良かったんですが、1年もするとオイルショックで会社が傾き始めましてね。一生タオルを売り歩くのかと疑問を感じていたところだったので、良いタイミングだと退社しました。やっぱり東京で勝負したいと思ってましたから、とりあえず上京。
Q.アテはあったんですか? 全くない(笑)その頃、電線マンというのが流行ってまして、伊東四朗さんと仕事がしてみたいと思い、どうしたら夢がかなうかと考えました。
Q.大阪生まれの大阪育ちなのに伊東四朗さんですか。吉本や松竹芸能の芸人さんではなかったんですね? ずっと花月の笑いで育ってきたので、東京の笑いが素晴らしく新鮮に感じました。スマートな笑いというか、洗練されているというか。
Q.そこで、伊東四朗さんと仕事をするために考え出した秘策とは? 所属事務所のサワズカンパニーに電話しました(笑)
Q.とんでもなく正攻法ですね。 人間がとんでもなく素直なもので。運良く採用されて、新人のタレントに付いたりしてましたが、万を持してやっと伊東さんの現場担当に。
Q.伊東四朗さんのマネージャーになった時には、感動したことでしょうね。 私は感動しましたけどね。伊東さんにそのことを話したら、「あ、そうか」ってひと言(笑)…さすがスマートで洗練されたな笑いだなと。
Q.念願の伊東四朗さんとの仕事を実現させたのに、制作の世界に転がり込んだのはなぜ? やっぱり現場に頻繁に出入りしていると、作り手側に回りたくなりましてね。「見ごろ食べごろ笑いごろ」を制作していた縁で、渡辺プロの映像部(現ザ・ワークス)に移りました。
Q.会社は移っても、相変わらず伊東四朗さんとはお会いするわけですよね。伊東さんは何ておっしゃいました? 「あ、そうか」って(笑)…で、次にニッポンクリエイティブビジョンに行って、プロデューサーとして始まったばかりの「あぶない話」(山城新伍、島田紳助司会)に参加します。
Q.独立されたのはどういう理由だったんですか? 「あぶない話」が5年で終了したので、ちょうど良いタイミングかなと。
Q.会社設立当初は、何人かスタッフを入れてという構想でしたか? いや、仕事を取ってくる自信があまりなかったので、人を入れて路頭に迷わせたりするのはどうかなと。半年ごとに仕事が増えたり無くなったりするサイクルは身にしみてましたから。
Q.すぐに仕事は飛び込んできましたか? 単発の番組で食いつないでいるうちに4年目にして、ABC(朝日放送)で初めてのレギュラー番組「劇的!ビフォーアフター」が始まりました。続いて同じ局で「笑いの金メダル」と。
Q.関西キー局に狙いを絞るという戦略がおありなんですか? いやいや、そんなつもりはないです。たまたまレギュラーを取れたのが関西キー局だったというだけです。ただ、東京キー局に行って頑張って企画を通そうとしても、単発がやっとでなかなかレギュラーまで発展させるのは難しいですね。
Q.スタッフ繰りには苦労しないものですか? 制作会社を辞めたばかりのフリーのディレクターに声をかけることが多かったんですが、最近はそのディレクターたちが個人会社を持ち始めたので、かえって声をかけやすくなりました。
Q.発注側からすると、社員に発注するメリットって何でしょうね? メリットは1点でしょうね。大きな会社ですと人件費とか経費がかさむけど、ウチのような最小の会社だとそれがない。ぶっちゃけて言うと、私の食い扶持さえ稼げればそれで良いので、その分だけ番組の直接制作費がかけられる。
Q.ではこれからも〝制作会社ひとり〟でやって行く覚悟ですね? もちろんです。ダメになったらダメになったで、誰にも迷惑をかけずにひっそりと消える。子供も後継者もいないので、私一代で終わりですからね、社員も寺本家も(笑)
Q.最後に今後の展望をお話しください。 ひとりだけの会社なので私の腹づもりひとつなんですが、人生のラストはお笑いに関わっていたいかな。売れていなくても、自分が好きだと思えるお笑い芸人を見つけて、一緒にネタ作りをして、夢を語り合って…マネージメントをして行きたいと考えています。 |
寺本社長…ユニークな風貌と人柄で、他人にたっぷりの安心感を与えることが最大にして唯一の戦術なんだろうなと感じました。基本的にはノープランで行き当たりばったりの人生ながら、大阪商人の遺伝子を備えているので最後の元栓はキッチリ締める。「鶏口牛後」という古い諺はこの会社をよく表しているが、むしろこの人物の場合は、「牛のようにおいしそうな顔と、鶏のように締まる肛門」をお持ちなんでしょう。
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