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広報委員が行く!会社訪問


ユニオン映画が入るビル(東京・月島)

所在地:東京都中央区月島1-2-13
電 話:03-5547-5871
HP:http://www.unioneiga.co.jp
代表取締役社長:金澤宏次
設立:日本クラウン、日活、東映などの役員を迎えて昭和45年に設立。
「子連れ狼」「俺たちの旅」「ゆうひが丘の総理大臣」などヒットドラマを多数製作。

 

今回訪問したのは今年で創業41年の番組製作会社、ユニオン映画さんです。

 

社屋は金澤社長が「近所にはおいしいお店もたくさんあります!」とおっしゃる通り東京名物“もんじゃ焼き”で有名な中央区は月島にあります。
金澤宏次社長は大学を卒業後NHKに入局。主にドラマ畑を歩み、大河ドラマ「いのち」「利家とまつ」、連続テレビ小説「ひらり」「京、ふたり」や「ハルとナツ 届かなかった手紙」「最後の忠臣蔵」、ドラマ以外にもNHKスペシャルなど多数の作品を手掛けられイタリア賞グランプリ、文化庁芸術祭大賞、放送文化基金賞、ATP賞など多くの賞を受賞、2009年にユニオン映画株式会社の代表取締役に就任されています。

 

左:事務所内  右:金澤宏次 社長

Q:ユニオン映画さんというとドラマのイメージが強いのですが・・・

金澤: 「俺たちの旅」はじめとして、青春ドラマから時代劇の連続ものなど3000時間分ぐらいの著作権を持った作品をホールドしています。やっぱり、コンテンツの時代になってきたという裏付けでもあると思うんですけれども、CS、BS、地方の民放さんにかなりニーズが高いですね。とりわけ驚くのが、時代劇が引っ張りだこということです。

*「子連れ狼」「パパと呼ばないで」「俺たちの旅」「ゆうひが丘の総理大臣」等DVD化されているユニオン映画製作のドラマ作品は合計3,000時間分ほどになる

Q:そういった時代劇をはじめ石立鉄男さん主演のホームドラマ、中村雅俊さん主演の青春ものなど名作の多くがフィルムで製作された作品ですね。

金澤: 会社設立当時はテレビというメディアに、新しいフィルム作品の流れを作りたいという趣旨も強くあったようです。東映さんや日活さんからフィルムの文化をしょった多くの先輩が来られてスタートしたという事ですね。16ミリフィルムを中心に作品を作ってきたわけですけども、それが今功を奏しているんです。フイルム(ネガフィルム)で保存している作品は劣化が少なく、ネガから直接ハイビジョンにテレシネ変換することにより(放送当時より)高画質のコンテンツになります。映画の文化をしょって来ている人達は、昔のテレビマンと違って作品は長い目で見て生き残っていくんだという意識があってフィルムでドラマを製作し結果それがきちんと保存されていったということですね。

Q:ユニオン映画さんはドラマ以外にも「元祖ドッキリカメラ」や「笑点」などのバラエティ番組も制作されていますね?

金澤: いわゆる情報バラエティ系も、かなりの歴史と伝統があります。今現在もテレビ東京さんの「日曜ビッグスペシャル」「土曜スペシャル」「いい旅夢気分」なども作らせて頂いてます。 私どもは、いわゆるテレビ局、放送局の系列会社じゃありませんから、どうしてもスペシャル番組とかいわゆる2Hドラマであるとか長時間の単発系の仕事が多いですね。まあ、これも非常にありがたい話なんですけれども、製作・著作を頂け、結果として2年半なり3年経過したところでライツがテレビ局から私どもの方に移りますので、各プロデューサーが自分の手がけた著作権を社員としてホールドでき、一本立ちして活躍していけるわけです。

Q:昨今テレビ局が、特に情報バラエティや情報番組で局制作という立場を取って、いわゆる完パケで外注しなくなってきて、どちらかというとスタッフを派遣で受け入れるというのが、圧倒的に増えてきましたよね。これは、たぶんコストダウンだと思うんですけれど。

金澤: 我々制作会社としては、ある意味でスクラム組んで、力を合わせてカルチャーパートナーといいますか、テレビ局とわれわれ番組制作会社が、本当に五分と五分とでテーブルをはさんで、企画を議論し演出・制作の事を、練り上げてといくという事がやはり大事です。ですから、派遣でもって終始するとか、一部の業務委託ということで終始するとかという事では無くて、やはりきちっと製作著作という事を意識した仕事ができれば、これはありがたい事です。

Q:制作会社のホールドできる著作権がゼロだと、本当に作業費みたいになってしまって、以降まったくメリットがなくなってしまいますよね。当協会も含めてある程度我々でアピールしていく必要がありますね。

金澤: 必要あると思いますね。その企画の発意がどちらだったのか、もちろん局側から企画の発意がある場合もありますけど、やっぱり番組制作会社側から企画を発意して、きちっと提案申し上げて、演出・制作していく事があればそれはやはり知的財産としての製作著作ということを考えて頂きたいなという風に思います。

Q:今後のビジョンとして5年後10年後に社長ご自身としてこういう風に持っていければという、理想的な方向とか、目標は?

金澤: お蔭様で41年の歴史が我が社にはありますので、それなりの伝統っていうものがあるわけですよね。そうしますとたとえば本当に小さな町工場ではありますけれども、ユニオン映画にしか出来ない、生意気言うとユニオン映画ブランドというものがいくつか保有できてきて、その一つが、たとえば「笑点」という番組で毎週高視聴率を頂いている。またドラマで言いますと、テレビ朝日さんの土曜ワイド劇場で「タクシードライバーの推理日誌」という渡瀬恒彦さんが主演で大変多くの固定ファンがいらして高視聴率を頂いていますがこういった多くのアーカイブスをもとにした2次展開、事業展開、コンテンツ事業展開でユニオン映画ならではのブランドをしっかり保有しつつ次のステップとして、「コンテンツハブセンター」のようになること。ちっぽけな町工場ではありますけれどもテレビの番組を制作するという主戦場と、そして映画、舞台演劇、様々な通信系のコンテンツに乗り出していくという様な形で様々なコンテンツを作っていける足腰の強さ、あとクリエイターの才気とういうものを発揮していく。より一層効率化も進めスリム化も進めて身軽になって、それだけのコンテンツをサーブし多種多様のコンテンツを作っていくということですね。

Q:今、業界全体の問題だと思いますが確かに新しいものをやっていかなきゃいけない部分と、予算削減でベテランに対するペイが出来なくなってきている現状もありますね。

金澤: 本当にそうです。かたや、60歳になったって皆元気なんですから、再雇用含めて65まではとか、これは世の中の機運で流れですからね。そういったところをどうやって社として、経営者として維持していくのかという部分が本当に悩ましいですよね。

Q:ところで社長御自身の仕事を離れた時の御趣味は?

金澤: 旅行したりとかおいしいもの食べたりとか、グルメ番組、旅番組のように。あとは歌舞伎を見たり、芝居を見たりが大好きですから、もう毎月のように、歌舞伎は見ますね。あと文楽ですとか、古典芸能が好きですね。そういうものはドラマ作る上でもとても役に立ちますよ。

Q:そういったことも含めて特に、新人や若い社員の方におっしゃっていることなどありますか?

金澤: とにかくモノづくり、カッコよく言えばクリエイターとしてモノづくりで生きていくんだ、これが自分の人生なんだと言うことを自覚して、それでやりぬいてくれ、と。どうしても、人生一度きりの中でそれが自分に向いてない、無理があるんだと言うならば早い時期に方向転換した方がいいぞと言う事は申し上げています。小さな町工場だけれども、宇宙工学であろうが、我々が普段使っているパソコンであろうが、その最先端のツールの中で、どうしてもこの部品がなければロケットも飛ばないし、携帯も出来ないというようなものを町工場が作っているじゃないですか。我々もそういう会社になろうねって言っています。

ここで社員の方にご登場いただきました。 「笑点」ご担当の親松(おやまつ)さんとドラマご担当の 岩崎さんです。

ドラマ担当の岩崎さん 「笑点」担当の親松さん

Q:色々な制作会社がある中でこの会社独自の強みっていうのは、何でしょうか?

親松: 時代劇、ドラマを含めてうちが製作著作を持っている作品が多いのが一番の強みだと思うんですよね。DVDなどもなかった昔は今ほど製作著作にこだわりませんでした。それが2次利用で利益にな るっていうのがまだ誰もわかってなかったんでそこがある意味良かったかもしれません。

親松 豊 プロデューサー

岩崎:私は「検事 霞夕子」という夏樹静子さん原作のものを今フジテレビさんでやらせて頂いてます。あとは土曜ワイド(テレビ朝日)で「タクシードライバーの推理日誌」というのを引き続きやらせて頂いていたり、映画スタイルといいますか監督さんと脚本家さんと二人三脚でやれるような作品を中心に、そこから派生して局の色々な部署の方、報道の方ですとかとも色々お仕事をする機会が生まれるというところです。

岩崎 文 プロデューサー

Q:社長は大変色々なことをお考えになっている方という印象と非常に紳士的な方っていう印象を受けたんですけれど、皆さんの社長の印象は?

親松: でも思ったことはズバズバ言いますからね。いろんな面で。逆に言うと包み隠さず思ったことを言う。良いも悪いも含めて。良くも悪くもアットホーム的な所がうちの会社の雰囲気としてあったんです。和気あいあいとした。それはそれで良いとは思うんですけど、ただやはりこれから生き残っていく為にはそれだけじゃダメなんだっていう部分において「常に危機感を持て」という事を言われて、それは会社の一人一人が本当に実感することだと思います。
岩崎: 逆に私は、放送局に所属していた時期がありましたのでNHKさんという団体が非常に視聴者の方の意見とか批評批判を身近に感じながら接している放送局でありそれだからこそ危機感というか常に発展しなければいけない、甘んじていてはいけない、という意識を高く持っている人物なんだとすごく感じます。ある意味親方日の丸的に仕事進めている方法論っていうのがまだちょっと悪しき習慣としてあった部分もあるので、そう意味では自分達がクリエイターなんだよという事で開拓をしていかないと局さんの番組の発注を待っているようではダメで、そうじゃない方法論で、発信していく集団になろうという意識を持っているということはすごく感じますし良い事だと思います。

Q:ありがとうございました。 最後に社長に再びご登場いただき、これを読まれている会員社の方々や映像事業協会に対して何かアピールされたいことなどを。

金澤: やはり我々が番組を作っていく、コンテンツを作っていく上で、作り手としての志であるとか、姿勢であるとかをきちんと示していく中でやはりテレビ局に対して、あるいは他の様々な発注クライアントに対して企画の発意ってことを掲げて、演出力も掲げて、五分と五分で、お互いスクラム組んで統一戦線を組んで、話し合うところは話し合う、主張すべきところは主張するという姿勢を崩さずに、少しずつ進めるようにお互い横の連携を組んでいくべきです。 「コンテンツ立国日本」だとか「クールジャパン」などと言ってる中でお役所がテレビ局の方ばっかり向いているっていうのはおかしいじゃないですか?実際これだけの限りなく多種多様の番組やコンテンツを番組制作会社、何百という番組制作会社が作っている訳ですから、企画から、演出から、そこは、きちっとコンテンツ立国日本を政策として大きく掲げているのであればやっぱり番組制作会社に対しての支援も含めて、政府もどんどん後押しをしてくれるべきじゃないかと思います。

Q:本日はありがとうございました。

広報委員の後記!

長く放送局の制作現場で活躍されてきた金澤社長の制作会社のトップとしてのこれからのコンテンツ制作の在り方についてのお話は大変有意義なものでした。紳士的なお人柄の中に秘められた、モノづくりやクリエイターに対する強い意志を感じました。今後は会社のトップとしてだけではなく業界全体の牽引役としての御活躍に期待致します。

 

インタビューアー:広報委員 (株)ネクストワン 内山雄治
写真:ウッドオフィスグループ(株) 岡村宇之
(2011年4月取材)